二重人格弟に溺愛中



「総合優勝おめでと!!」


そんな笑顔で言われると、なんだか申し訳なく思えてくる。



「暗い顔しないで?
紅莉が俺を心の中で応援してたこと知ってるから!」


「圭……」



「景品良いのだといいね!」


「そ、そうだね!」


実はもう知ってます。


だなんて言えないよ


だって言ってしまったら
太陽の告白を思い出してしまうから…


「紅莉、紅莉」


「ん?」


圭が手招きするから
近寄ると…



耳元で…



「夜は覚悟しといてね?」


そう囁かれた…



「っ/////

なっ…何を!!」



「帰ってからのお楽しみでしょ」


あたしの中に流れる血液が一気に逆流を始める


圭に囁かれただけなのに
全身の力が抜ける感覚に陥ってしまう…


あたし、どんだけ圭に弱いんだろう…


自分に渇を入れても
圭に見つめられたら
そんなの一瞬にして消えていく。


「どうしたの?紅莉」


もうだめだ…


名前を呼ばれるだけで
あたしの心はぐらぐらと崩れ始める


「保健室、行く?」


―――ゲームオーバー




気づけばあたしは無意識に頷いていた…
< 207 / 338 >

この作品をシェア

pagetop