二重人格弟に溺愛中
「それにしても仲良いな」
「そうだな」
返事をすることだけで精一杯
ゴッツの言葉もあまり頭に入ってこない
相当重症なのか?
大きなハンマーで殴られたような痛み
「あっ、こっち来るぞ」
ゴッツの言葉で我に返った
「何つったんでだよ!」
凄い力でゴッツに引っ張られ
俺達は物陰に隠れた
「馬鹿だろ…
見つかっちまったら
修羅場になんぞ」
昼ドラの見すぎだって…
影から見る紅莉と圭は
姉弟とは全然見えなくて
普通のどこにでもいるカップルに見える
まだ確実に恋人だと決まったわけじゃないのに、何故かそう思ってしまう
「まだ決まったわけじゃないんだから、そんな落ち込むなよ」
「あぁ…」
分かってるけど…
頭では分かってるけど
俺の出る幕はないんだって…
「俺達も禁断の恋しちゃう?」
コイツ本当の馬鹿だ
そう思った瞬間だった
「よし、行ったな」
二人が俺達の傍を通り過ぎると、物陰から出て二人の後ろ姿を見つめた