二重人格弟に溺愛中
「ぐ、ぐるじぃ~」
「あ、あぁ悪かった…」
お父さんは手加減なしに抱きついてきたから、息が詰まりそうだった…
すぐに離してくれたから良かったけど、危ない危ない
お父さんもお母さんも変わらず、元気なままだった
考えてみると、お父さん達が仕事で海外に行く前までは普通の姉弟だったんだよね……
普通の会話をして
普通の生活で
普通の家族
そして、どこにでもいる
普通の姉弟
「紅莉?」
「へっ?」
「顔色悪いけど大丈夫?
夏バテかしらね?」
お母さんの手があたしのオデコに触れた
その感触は温かくて
悩みなんて全部取り除いてしまえそうだった…
「ん~熱はないようね…
部屋で休んでたら?
お土産は逃げてかないから
安心しなさい」
「うん…ありがとう…」