二重人格弟に溺愛中


父さんの手は硬く強く力が入っていてキリキリと震えている。



「他に親戚もいなかったから
圭…お前は施設に入る事になったんだ……」


駆け落ちをしたことで
世間に認められず
両親は本当に色んなモノを
失ったと思う…


でも、俺を育てることをやめなかった。


俺は生まれてきて良かったのかな?


もし、生まれてきてなかったら
きっと違う未来があったはず…



「俺達は圭を放っておくことが出来なかったんだ。


章吾達の生きた証でもある圭を…

だから、施設にいた圭を引き取ろうって決心したんだ。


養子として
でも本当の息子のように
沢山の時間を過ごしていこうと
母さんと決めたんだよ」




父さん…


母さん…


ありがとう…


全てを知った今なら
素直にそう言えるよ。
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