二重人格弟に溺愛中



「紅莉っ!!」


「離してっ!!」


圭の力強い腕があたしの体を包むけど、あたしは振り切ろうとした

けど……


けど……


「紅莉っ!」


圭の唇が強引にあたしの唇に触れて抵抗する力を吸収していく



いつもと違うキス



呼吸する暇も与えてくれないほどに深いキス


「んっ………」


なんにも考えられない


だんだんと圭の顔を薄れていく


圭はあたしの様子を見て
唇を離した



「ごめん…でも、話聞いて?」


申し訳なさそうにあたしを見て
そう言った


「うん…」


従うしかないと思ったあたしは
頷き、圭を真っ直ぐみた



「紅莉、紅莉は俺と離れるのイヤ?」



そんなの…イヤに決まってるよ


離れたら

圭の声も

さらさらの髪の毛も

長い指も

笑顔も

見れなくなる
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