二重人格弟に溺愛中
そして、道のりを走ること20分
「着いた……」
そこはあたしが生まれてから
住んでいた見慣れた家
車を車庫に止め、ロックした
「深呼吸しなきゃ……」
車の中の和やかな雰囲気は
どこにもなくて
緊張という気持ちで押し潰されそうになる
震える手
強ばる表情
でも…
圭は優しくあたしの手を取り
「大丈夫」
と言ってくれた
それだけで安心できて
あたしは肩の力がおちた
やっぱり圭マジックだね
そう思いながら
家の鍵を出して開けようとした
「紅莉」
「なに?」
「最後にキス…しとこっか」
キ、キス?
もう家の前なのに!?
「や、でも、お母さん達に!!「しっ」
あたしが全部言い終わらないうちに圭の指であたしの口は閉じられてしまった