治樹と未来
そして、待ちに待った学園祭の日がやってきた。

私は実行委員会という事もあり、バタバタ走り続けていた。

【倉庫から、紙コップ3袋取ってきて~!!】

倉庫って変に奇妙だから行くのヤなんだけどな・・

まぁ仕方ない。

【行ってきまーーす】

そう言って私は倉庫に走って行った。

相変わらず奇妙な場所だなぁー。

人影もなくて、薄暗くて・・

こんな所で殺されたら3日は放置だろうな。

自分で自分を怖くしながら、倉庫に入っていった。

すると・・・

出たぁぁーーーーーーーーーー!!!

誰かがうずくまって、体を震わせていた。

お化け??

・・・じゃない。人間だ。

こんなところで何してるんだろう。

【何してるの?】

そのお化けクンは、ゆっくり顔を上げた。

八重歯男!!!!!!!!

しかも目から、たくさんの涙が溢れていた。

えっ、何で? どうしたの?

私は紙コップの事など、すでに忘れていた。

泣いている八重歯男の隣で、何も言わずにじっと座っていた。

私一体何してるんだろう。

何で隣で座ってるんだろう。

自分の行動が全く理解できなかったが、自然と体がそうなっていた。

【お前、長い間誰かを待った事ある?】

声を震わせながら八重歯男が口を開いた。

【駅で2時間友達を待ったことぐらいしかない】

【そっか】

何が言いたいんだろう。

それから男は、何時間も沈黙のまま泣き続けた。

そして私も何時間も沈黙のまま座り続けた。

【俺さ、3年前、彼女を亡くしたんだ】

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