治樹と未来
そして男の体を揺らすと、すごく熱い。

すごい熱じゃない!

それになんだか少し痩せたような感じだった。

とにかくベッドまで運ばないと。

だけど全身力の抜けた男を担ぐほどの力はなく、引きずってベッドまで運んだ。

そして転がすようにベッドの上に寝かせ、布団をかけた。

気づけば私は、洗面器に氷と水を入れ、タオルをしぼっていた。

その時、大嫌いなどという感情は一切忘れていた。

真っ赤な顔を冷たいタオルで優しく拭き、また氷水にタオルをつけ、しぼったタオルを彼の額に乗せた。

台所に行くと、カップ麺が山積みされていた。

毎日こんなものばっかり食べてたら、そりゃ体調も壊すよ。

私はコンビニへ行き、桃の缶詰とパックのご飯。

それから梅干と蜂蜜を買った。

彼の家に戻ると、パックのご飯を沸騰したお湯の中にいれ、おかゆを作った。

そしておかゆの上に梅干をのせた。

それから桃の缶詰を透明の容器に入れ、

そして体が温まるはちみつ湯を作った。

小さい頃熱が出ると、いつもお母さんが作ってくれたはちみつ湯だ。

それを寝ている彼の元へ持っていき、少しづつ食べさせた。

本当に病人かと思うぐらいの食欲で、

全てキレイに食べ終わると、彼はまた眠りについた。

私はお皿を洗い、そして彼の額にのせたタオルを冷たいタオルに交換した。

熱を測ると、もうだいぶ下がっていた。

このまま寝ていたら治るよね。

そう思って帰ろうとした時、彼が私の腕をつかんだ。

【今日はそばにいて・・・】
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