運命
「は?」
心の声がそのまま出る。
「その場で返事しないってことは、気になってんだろ?
いいんじゃね?
佐伯、いい奴だし。
俺より一緒にいられる時間あんだろ。」
その時、何かがプツンと切れた。
「なんで・・・そんなこと言うの?」
「は?」
「私、ちゃんと断ったよ?
でも、最近徹の様子が変だったから、友達に相談したら、
じゃあ、やってみたら?って言われて。
試すようなことして悪いとは思ってる。
でも、徹は私のこと考えてくれた時あった?
好きだと思ってくれてた?」
涙が止まらない。
徹はただ呆然と聞いていた。
「私のことが好きじゃなかったのはわかってる。
美愛ちゃんを忘れるためだって。
でも、それでもいいって思ってた。
徹が忘れられるように、私を見てくれるようにって・・・。
毎日部活でも、名前で呼んでくれなくてもいい。
好きって言ってくれなくてもいいって。
ずっと待ってようって。
でも、無理だったみたいだね。
私じゃ。」
ずっと気付いてた。
徹が私を好きじゃないって。
でも気付かないふりしてた。
まだ大丈夫って思ってた。
「付き合ってくれてありがとう。
短い間だったけど楽しかったよ。
・・・大好きだった。
ばいばい。」
溢れる涙を拭きながら、
徹の横を通り過ぎた。
ばいばい、徹。
.