輪廻~“ミシュマシュ”

―第三説―

 
 
今のネイチェルは脱け殻…
 
 
町のヒトに話しかけられても
反応しない。
 
仕事を頼まれても
 
  カツーンカツーン…
 
黙々とハンマーで鍛造している状態。
 
時折 レンガ窯からもれる炎を見つめ 目線を炎の向こう側にやる。
 
 
    パチパチパチ…
 
 
今のネイチェルを癒すモノは
鳴り響くハンマーの音と
燃え盛る炎だけだ。


カツーンカツーンカツーン!
 
    カツーンカツーンカツーン!
 
バチッ! …パチパチパチパチ‥
 
  カコーン
 
 カツーン!  カツカツカツーン!
 
カツーン!  カツカツカツーン!

 カチーン!カチーン!カチーン!
 
ジュボッ! ブクブクブクブク…

 
 
「 ふーッ。今日はダメだ‥」
 
ネイチェルは巧くいかない鍛造に苛立ちを起こす。
 
気分を変えようと窓辺に
常に置いてある
ロッキングチェアに腰を降ろした。
 
「 ふーッ 」
 
もう一度ため息をつく。
 
そしてロッキングチェアの曲線に指をなぞらす…。
 
 
ギーコ‥ ギーコ‥
 
 
 
  
 ……ミシェリ‥…
 
 
 
 
““““““““““
 
何造ってるの?
 
ん~‥椅子だよ
イメージはミシェリ!
 
もう‥! ネイチェルったら!
恥ずかしいわ
 
そうかい?
 
そうよ!
 
 プッ!ハハハッ!
 フフフフ!
 
" " " " " " " ""
 
 
 
ギーコ‥ ギーコ‥ ギーコ‥ ギーコ‥
 
 
 
ネイチェルはロッキングチェアに
揺られ いつの間にか
浅い眠りに入っていった… 
 
 
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