星の涙
うつ伏せになり、上半身だけを起こして雑誌をめくる。

窓を閉めても聞こえるセミの音が夏を主張していた。

「あにぃ。西瓜あるで」

部屋のドアからひょこっと顔だけを出し、妹のひよりが巧を呼び出す。

今時スタイルの洋服に、茶髪のセミロング。

ちょっと思春期の巧には痛い露出度の高い服装は、女の色気をムンムン出していた。

巧と正反対の服装と言ってもおかしくはないだろう。

ひよりは顔を出したまま、巧の格好をじっと見つめた。

「なんや、見とれるほど俺カッコええか?」

「勘違いせんといて。その格好じゃ、あにぃ一生彼女でけへんよ。ダッサ!」

うししと笑う巧にあっかんべをして、ひよりはその場から立ち去っていった。

「うっさいわアホっ!!」

ドアに向かって巧が叫ぶ。

巧と違ってひよりは彼氏がいた。

それも巧が負けたと自覚するほどのイケメン。

どこでそんな奴と知り合ったのかわからないが、巧は少しだけそれにショックを受けていた。

憎まれ口を叩く妹でも、やっぱり可愛い妹なのだ。

イケメンほど軽い男はおらん。

それが巧の男を見る目だった。

巧は雑誌を閉じると、ぐーっと伸びをして居間へ降りていった。
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