星の涙
混乱する頭を上手く押さえつけ、夢について考えてみた。

あれほどまでに長い夢を、今まで見たことがあるだろうか。

男性は女性よりも夢の色素が薄いと、昔何かの雑誌で読んだことがある。

女性は比較的夢をカラーで見ることのほうが多い。

しかし男性の場合、ほとんどの夢はモノクロで、カラーなんて滅多にない。

そう書かれていた。

けど何故だろう。

色も付き、声もあり、感情もある。

そして熱さを感じ、熱風を感じる。

全て鮮明に覚えている。

一つも飛ばすことなく。

夢なんてすぐに忘れてしまうもの。

たった今見ていた夢だって、起きた瞬間あれっ?となってしまうのはよくあること。

それが普通だ。

夢の記憶を辿りながら、ある場所まで行くつく。

「千夏……」

そこで巧は瓦礫に挟まれていた少女の名前を口にした。

千夏。

昨日突然現れ、そして消えた少女と同じ格好、同じ髪型をした少女。

あれはあの少女なのだろうか。
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