星の涙
第三章
1945年8月。
「千夏!あんたまた何やっとんの。霊と遊ぶなんてええ加減にしぃや」
渡り廊下に座っている千夏に向かって、母ヨシは大きな声で叱った。
また千夏が交霊している。
戦争で死んだ兵士や国民が、自分が死んだともわからずにこの世をうろつき、視える千夏に声をかけるのだ。
千夏以外の人間に話しかけても誰も反応することはない。
霊感のない者は霊の存在に気づかないのだから。
「遊んでなんかおらん。成仏させてんねや」
千夏はヨシを見て、頬を大きく膨らませた。
戦争真っ只中の日本。
この第二次世界大戦で何人もの人が犠牲になっている。
ヨシの旦那、千夏の父でもある忠男もまた、天皇の命により戦争へと借り出された。
霊は死んだことを悟ると、千夏を一緒に連れて行こうとする。
霊は霊を視ることができない。
複数の霊が同時に成仏したとしても三途の川に行くまで1人ぼっちなのだ。
寂しさを紛らわす為、千夏を誘う。
一緒に行かないか……と。
ヨシにとってそれが一番怖かった。
この世に未練が強い霊ほど強引に千夏を引っ張るのだ。
千夏同様視えるヨシは、千夏の魂が何度も動いているとこを視ている。
いつ千夏を持っていかれるかと思うと、気が気でなくなってしまう。
だからヨシは叱るのだ。
霊と遊ぶなと。
「千夏!あんたまた何やっとんの。霊と遊ぶなんてええ加減にしぃや」
渡り廊下に座っている千夏に向かって、母ヨシは大きな声で叱った。
また千夏が交霊している。
戦争で死んだ兵士や国民が、自分が死んだともわからずにこの世をうろつき、視える千夏に声をかけるのだ。
千夏以外の人間に話しかけても誰も反応することはない。
霊感のない者は霊の存在に気づかないのだから。
「遊んでなんかおらん。成仏させてんねや」
千夏はヨシを見て、頬を大きく膨らませた。
戦争真っ只中の日本。
この第二次世界大戦で何人もの人が犠牲になっている。
ヨシの旦那、千夏の父でもある忠男もまた、天皇の命により戦争へと借り出された。
霊は死んだことを悟ると、千夏を一緒に連れて行こうとする。
霊は霊を視ることができない。
複数の霊が同時に成仏したとしても三途の川に行くまで1人ぼっちなのだ。
寂しさを紛らわす為、千夏を誘う。
一緒に行かないか……と。
ヨシにとってそれが一番怖かった。
この世に未練が強い霊ほど強引に千夏を引っ張るのだ。
千夏同様視えるヨシは、千夏の魂が何度も動いているとこを視ている。
いつ千夏を持っていかれるかと思うと、気が気でなくなってしまう。
だからヨシは叱るのだ。
霊と遊ぶなと。