星の涙
「いつまでも子ども扱いせんといて!」

そう叫ぶと、千夏は除霊を一時中止にし、2階へと行ってしまった。

ヨシは追うことなく、ただそれをじっと見つめていた。

蝉が鳴いている。

数年前まではこの音が夏を知らせてきた。

向日葵が咲き、夏野菜ができ、外では子供達が遊びまわっていた。

千夏はそんな時に生まれた子供。

千里眼を持って夏に生まれてきたという意味を込めてつけられた名前。

ヨシの家系は霊能力者が多くいる。

特に大叔母、ヨシの祖母の姉にあたる人は、親戚内でも抜きん出た能力の保持者だった。

良霊を操り全国へ遣わせ、時には占い、予言する。

述べた言葉は全て当たり、外れることは一度たりともなかった。

その大叔母が往生するとき、ある予言をした。

『次に生まれる子は我が魂に触れるであろう。そして全ての能力を兼ね備えるのだ』

そして3年後、千夏が生まれた。

ヨシは仏壇に置いてある大叔母の写真を見つめてこう呟いた。

「どうか千夏を守ってください……」

写真は何も答えずにただ微笑むだけ。

ヨシはふっと笑うと、台所へと足を運んだ。
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