星の涙
青い空が突如、渦を巻いた。

灰色の渦になり、次第に暗い夜空へと変化する。

作りかけの花かんむりは吹き飛び、幼い千夏は消えていった。

背景が変わる。

場所は自宅だった。

空襲が鳴り響く。

男達が大声で叫んでいる。

千夏が後ろを振り返ると、自宅に火の手が周り、炎が上がっている。

母はどこだろう。

そうか、買い物に出かけて……。

とにかく逃げなくては。

あ……。

居間にある、仏壇を思い出す。

お兄ちゃん!!

千夏は踵を返すと、炎の上がる自宅へと戻っていった。
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