星の涙
「うまそな西瓜やないかぁー」

テーブルの真ん中には、皿に山盛りになっている西瓜が置かれている。

ひよりはもう席に座っていて、先に西瓜を食べていた。

イスに腰かけると、巧は一番大きな西瓜を選び自分の皿へ持っていった。

真っ赤な果肉に、ところどころについた黒い種。

みずみずしいその果肉に、巧は遠慮なくかぶりついた。

「塩かけへんの?」

ひよりが向かい側の席で西瓜をほおばりながら問いかけてくる。

皿を覗くと既に腹に収まった西瓜の残骸が3つほど置かれていた。

4つ目と見られる西瓜を見ながら、巧は甘味は自然が一番なんや、と答えた。

「それよりもお前。そないに食ったら腹下すぞ」

目線だけで西瓜の残骸を指してやると、4つ目を平らげたひよりはぷぅっと膨れっ面になった。

「うっさいわ。あにぃの分も食ったる!!」

「あ、おいっ!!」

巧の食べかけを奪い取り、ひよりはそれに口をつけた。

「あ、ほんま塩かけへんくても美味いわこれ」

自分の食べかけを食べられ呆然としている巧の目の前で、ひよりは美味しそうに西瓜をほおばった。

「可愛いない妹や……」

そう呟いて、巧は新しい西瓜を手に取った。
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