星の涙
次の日。

巧は裏山の小高い山の上で昼寝をしていた。

この場所は木々が生い茂り、日中も比較的涼しく過ごしやすい。

毎年行われる花火大会も、初日の出を拝むにも、この場所は最適だった。

巧だけが知っている、いわば秘密基地。

誰にも邪魔されない、巧の縄張りなのである。

巧はその安らぎの場所で夢を見ていた。

大きな爆撃。

人の悲鳴。

燃え盛る炎。

体験したこともない出来事が、夢となって巧を襲う。

その中で女の子が巧に助けを求めた。

浴衣を着た、同い年か少し下くらいの、三つ編みをした少女。

助けて……、助けて……と巧に助けを求め続ける。

女の子の手が巧の体に触れた瞬間。

そこで巧は夢から覚めた。
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