星の涙
あの少女は一体誰なのだろう。

普段女子と絡むことのない巧にとって、夢に女性が出てくることは滅多になかった。

だからこそ、夢に出てきた少女が無性に気になる。

「ひよりより可愛いやろな……」

巧はぼそっと呟き、重い腰を上げ空を見ようとした。

すると……。

「ありがとう」

「おわっ!!」

目の前にいたのは紺に風鈴と金魚のついている浴衣を着てい少女。

突然目の前に少女が出てきたもんだから、巧は大きくしりもちをつき、腰を抜かした。

「おおおおおお前ッ……!!」

「変な夢見させてごめんね」

てへっと舌を出し謝る少女。

同い年か少ししたくらいで、三つ編みをしている。

この少女こそ、巧の夢の中に出てきたあの少女だった。

「お、おば……おば……」

舌が回らない程混乱している巧の目の前にちょんっとしゃがむと、少女はにっこりと微笑んだ。

そのまま巧は泡を吹き、もう一度意識が飛んでしまった。

どうかこれも夢でありますように。

そう願いながら……。
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