マリオネット・ワールド <短>
俺がここまで真っ当で、人を見下ろせる場所で生きていられること。
それは、俺の力であることはもちろんだが、
両親にもそれ相応の感謝をせねばならないということも、きちんと理解している。
一流大学を出た、エリートの父。
俺の進むべき道を示し、最高の環境を整えてくれた、教育熱心な母。
いわゆる冷めた夫婦で、家庭環境は恵まれたとはいえないが、
そんなことは取るに足らない、ありがちな話だ。
別にどうでもいい。
俺の人生は俺のものなのだから。
両親だって、同じDNAを所有していようが、目元が似ていようが、口癖が似ていようが、所詮他人だ。
俺が欲しかったのは、父の持つ能力と経済力。
世間で生き抜くには、多少の糧になりそうな、母の顔。
たったそれだけ。
それさえあれば、後は自分の力でいくらでものし上がれる。
だって、全ての生命は、生まれた時から遺伝子によって、自分の限界は決められていて、
努力ではどうにもならないことなんて、この世には溢れ返っているのだから。