マリオネット・ワールド <短>
「だって、科学を研究するエリートがそんなこと言うなんて、可笑しいじゃない」
「だから言うんだろ?」
佐伯歩は、フッと鼻で空気を漏らし、鳴海悠の言葉をあざ笑った。
その仕草に、あざ笑われた本人は、男への関心をますます深めた。
「何も知らない無知な奴ほど、幽霊なんていないってほざくんだ」
「……どういうこと?」
「どうしても、科学では説明できないことが、この世には確かにある。
科学を研究してるからこそ言えるんだ」
「それはただ、まだ人類の進歩が未熟なだけなのかもしれないよ?」
「そうだな。でも今のところ、幽霊ってことにしとけばしっくりくるんだから、それでいいだろう」
予想外の言葉に、鳴海悠は戸惑っていた。
「それって、科学界の逃げじゃん」
「わかってないね、アンタ。一見非現実的なものを俺達みたいな奴ほど、返って信じたりするんだよ」
「だから?」
「何度も言わせるなよ。科学では説明できないって知ってるからだろ」
「ふーん」
「それをバカな奴らは、何も知らないからただ単にいないってわめいてる。
“幽霊はいる”と言える奴は、ちゃんと勉強をしてる証拠だ」
「んー……アナタの言いたいこと、なんとなくわかったかも?」
「理解遅い」