マリオネット・ワールド <短>
有沢知美と佐伯歩の繋がり。
有沢知美と鳴海悠の繋がり。
この二本の線は近くに在り、それでも交差することはない。
地平線の向こうまでも、平行に伸びていくのだ。
そして、有沢知美も、佐伯歩も、鳴海悠も……
被害者とは、何ら関係を持たない。
佐伯歩と鳴海悠の関係も、同じ大学に通う学生だということ以外に、
特別な繋がりが見つかることはないのだ。
だって、言ってしまえばそれは事実であり、本来あるべき姿なのだから……
二人が手を結ぶ理由は、どこにも存在しない。
するはずがないのだ。
繋がりそうで繋がらない。
見つかりそうで見つからない。
霧の中に投げ込まれた、真実。
どんなに突き詰めようと、誰もゴールに辿り着くことはできない。
二人によって生み出された巧みな迷路で、必ず迷い込むように操作されてしまうのだ――