マリオネット・ワールド <短>
結論
――0時34分発。
最終電車、最後尾。
死んだ瞳の男と女が向かい合って座っている。
男は、ブックカバーの下に収めていたいつもの科学書を取り替え、
つい最近出遭った奇妙な女を頭の片隅に置きながら、Nietzscheと書かれた哲学書に目を走らせる。
女は、窓に映る自分の顔を見つめながら、
自らの歴史上最高の男を思い浮かべて、密かな興奮を瞳に宿す。
今日も車内は、異世界が広がっている。
それぞれが、それぞれの世界の中で生きている。
平行線上を歩く者同士の手が結ばれることはない。
どこまで行こうとも。
――永久に。
All people are in this world
...marionettes.
END.