マリオネット・ワールド <短>
この二人は同じ駅で降りるのだ。
そして、そこは大学の最寄駅。
年齢、見た目から推察して、二人が同じ大学に通っているということは、自明のものだった。
同じ年齢でも、勉学を続ける大学生と、社会に出た人達は、
何故だか、どことなく見分けられてしまうものだ。
二人はまさしく、意外性のカケラもないくらいに、前者だった。
社会にはとても適応できていると思えない雰囲気。
そして、名前を聞くだけで“優秀”だと決め付けられてしまえる大学に、ピッタリの二人だった。
だがこの二人は、そんな世間の戯言など、微塵の興味も感じていないのだろう。
ただ機械のように、自分に見合った道に進んだというだけだ。
――死んだ魚の目。
“生”に何の希望も見出せない、冷え切った人間がよく例えられる言葉が、
可笑しくなるほど、ものの見事に当てはまっていた。