マリオネット・ワールド <短>



この二人は同じ駅で降りるのだ。

そして、そこは大学の最寄駅。


年齢、見た目から推察して、二人が同じ大学に通っているということは、自明のものだった。



同じ年齢でも、勉学を続ける大学生と、社会に出た人達は、

何故だか、どことなく見分けられてしまうものだ。


二人はまさしく、意外性のカケラもないくらいに、前者だった。



社会にはとても適応できていると思えない雰囲気。


そして、名前を聞くだけで“優秀”だと決め付けられてしまえる大学に、ピッタリの二人だった。



だがこの二人は、そんな世間の戯言など、微塵の興味も感じていないのだろう。


ただ機械のように、自分に見合った道に進んだというだけだ。




――死んだ魚の目。


“生”に何の希望も見出せない、冷え切った人間がよく例えられる言葉が、

可笑しくなるほど、ものの見事に当てはまっていた。


< 8 / 44 >

この作品をシェア

pagetop