―Destiny―
――ガチャ……
ドアを開けたお母さんが、驚いた顔であたしを見た。
「あらっ、柚? どうし……」
お母さんの視線は、あたしよりも背の高い、後ろにいた奏汰へとすぐに向けられた。
「……あ……」
「お母さん、あのね? この人……」
目を丸くさせて、ひどく驚いているお母さんに奏汰を紹介しようとすると……。
奏汰が一歩前に歩み出て、あたしの隣に立った。
「こんばんは。夜分遅くにすみません」
律儀な挨拶をする奏汰は、まるで別人のように見えた。