―Destiny―
奏汰はあたしの方など見向きもせずに、赤になったままの信号をじっと見ながら言う。
「奏汰の……家!?」
夏休みに、彼氏の家に遊びに行く。
こういうシチュエーションに、思わず胸がドキンと大きく跳ねる。
まさか今日、あたしと奏汰……。
でも、早過ぎない!?
付き合ってまだ二ヶ月だし……。
顔がカーッと熱くなっていくのを感じて、あたしは奏汰を一瞬たりとも見ることができない。
「今日、おふくろが仕事休みなんだ。柚と会わせようと思ってさ」
信号が青に変わり、車はゆっくりと前に進む。