―Destiny―
「おかえりー。……あれっ? その子……」
初めて見る奏汰のお母さん……。
年はうちのお母さんと同じくらいかな。
薄茶色の長い髪はキレイに巻かれている。
目つきが鋭いけれど、正統派の美人って感じだ。
「俺の彼女。村岡柚」
「は、はじめまして」
奏汰に紹介され、ぺこりと頭を下げる。
あたしが顔を上げると、そこにはニコニコと笑っているお母さんの姿。
無言のまま、やけにニコニコしているお母さんを見て、あたしは小さく首を傾げた。