―Destiny―


「奏汰の母、結崎優美ですー。あんた、『大食いの柚ちゃん』だろ?」


「……はっ!?」


「バカっ! やめろって!」



きょとんとしているあたし。

ニコニコと微笑む表情が、どんどん緩んでくるお母さん。


奏汰はそんなあたしたちの間で、急に慌て始めた。



「奏汰がさ、ずっと前から騒いでいたんだよ。柚ちゃんのことで。かわいいだの、彼女にしたいだのって」


「………」



どう言葉を返していいのか分からなくて、あたしはポカンと口を開けたまま。


奏汰をちらりと見ると、奏汰は耳まで真っ赤になって目を泳がせている。


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