―Destiny―
「でさ、運よく柚ちゃんも奏汰のこと好きだったんだろ? 奏汰ってばその日、興奮して熱出して……」
「柚! 来いっ!」
ペラペラと喋り続けるお母さんを玄関に残して、奏汰はあたしを強引に家の中に連れて行った。
あたしの手を掴んだまま、家の奥にずんずんと進んでいく奏汰。
後ろからほんの少しだけ見える顔はいまだに真っ赤で、あたしはおかしくて、つい笑ってしまう。
奏汰はキッチンにあたしを連れて行くと、冷蔵庫を開け、オレンジジュースのペットボトルを取り出した。
「……おふくろの言うこと、気にすんなよ」
口を尖らせて言いながら、奏汰はグラスにジュースを注ぐ。