―Destiny―
だけどあたしは、素直に「うん」と言わず突っ込んでみる。
「お母さんの言ったこと、本当?」
「……まぁ……」
少しずつ火照りが冷めてきていた奏汰の顔が、また少しずつ赤くなる。
いつも大人だと思っていたのに……。
そんな奏汰を見ていたら、たまらなく愛しく思えてきて。
あたしはお母さんの存在さえもすっかり忘れてしまって、思わず奏汰に抱きついてしまった。
「奏汰、大好き!」
「ちょっ、柚!」
ペットボトルのふたを閉めていた奏汰の手元が狂って、オレンジジュースがピチャリと奏汰のシャツに跳ねた。