―Destiny―


だけどあたしは、素直に「うん」と言わず突っ込んでみる。



「お母さんの言ったこと、本当?」


「……まぁ……」



少しずつ火照りが冷めてきていた奏汰の顔が、また少しずつ赤くなる。


いつも大人だと思っていたのに……。

そんな奏汰を見ていたら、たまらなく愛しく思えてきて。


あたしはお母さんの存在さえもすっかり忘れてしまって、思わず奏汰に抱きついてしまった。



「奏汰、大好き!」


「ちょっ、柚!」



ペットボトルのふたを閉めていた奏汰の手元が狂って、オレンジジュースがピチャリと奏汰のシャツに跳ねた。


< 118 / 328 >

この作品をシェア

pagetop