―Destiny―


「お昼の【来来軒】なら知ってるよ」


「だったらそんな酷なこと言わないでよ」



涙目で訴えるあたしを見て、槙村先生は呆れたようにまた溜息をついた。



「とにかく、今度やったら謹慎。ハイ決定!」


「そんなぁ……」



とうとう涙をこぼしたあたしにお構いなく、話は強制的に終わる。

槙村先生は立ち上がって二人分のコーヒーを淹れ始めた。



「あーあぁ。謹慎なら来来軒を諦めるしかないなぁ」



白い湯気の立つコーヒーを受け取りながら、あたしは軽く恨みを込めて呟く。

槙村先生は勝ち誇ったように、ニッと笑いながらコーヒーを飲んだ。



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