―Destiny―


「もしかして、永輝さん……?」


「どうして知って……」


「奏汰の家で、永輝さんの遺影を見たの。指輪もあったよ。『ユワ』って刻まれてた」


「指輪……? 柚羽の名前が……?」


「――うん」



あたしの話を聞いたお母さんの瞳から、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。


そして、お母さんは涙を手で拭うと、何度も深い呼吸をする。



――そして……。

一呼吸おいてから、お母さんは『昔のこと』を話し始めたんだ。



< 150 / 328 >

この作品をシェア

pagetop