―Destiny―
村岡は瞳にたまった涙を手のひらで拭いながら、小さく頷いた。
「先生。柚羽ちゃんと永輝さんは、いま、幸せかな……」
指導室を出て行くとき、村岡がぽつりと僕に問いかけてきた。
僕は村岡の頭を、軽く叩いて言った。
「幸せだよ。……だけど、村岡……」
「………?」
「おまえたちは、この場所で幸せになるんだぞ」
そう願うのは僕だけじゃないはずだ。
きっと、柚羽さんと永輝さんもそう願っているんじゃないだろうか。
僕の言葉を聞いた村岡は、にこりと微笑み、指導室を出て行った。