―Destiny―


『柚ちゃんちだよ』



俺は隠そうとせず、素直に奏汰に告白した。



『なんで……』


『おまえ、本当は柚ちゃんのそばにいてあげたいんだろ?』


『………』



無言のまま頷いた奏汰。

永輝くんによく似た毛色の奏汰の髪の毛を、ぐしゃりと撫でて俺は言ったんだ。



『昔のことは、当事者に任せとけ』


『……遼ちゃん……』



そう。

昔のことで、奏汰と柚ちゃんが苦しむことなんかないんだ。



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