―Destiny―


「かんなは、あなたに謝罪したいと以前から言っています」


「……いまさら……!!」




――ガシャンッ!



興奮した諒子さんは、テーブルの上に置かれたコーヒーカップを手で払いのけた。

ベージュ色の絨毯の上に広がる、琥珀色のコーヒーの渦。


俺はそれをぼんやりと眺めながら、諒子さんに話し始めた。



「かんなを許せないのなら、それでいい。だけど、柚ちゃんと奏汰には関係のないことだ」


「………」


「あなたは否定しているけれど、やっていることはあの頃のかんなと同じです」


「………」


「もう二度と、あんな辛いことを繰り返さないでほしい」



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