―Destiny―
■ 両親
「ただいまー」
家に帰りつくと、キッチンからいい匂いが漂ってくる。
その匂いに誘われるように、あたしの足は自然にキッチンへと向かう。
「おかえり、柚」
コンロの前で、なにやらグツグツと煮込んでいたお母さんが、くるりと振り返る。
お母さんの顔を見て、一瞬、嫌な予感がした。
やけにニコニコした作り笑い。
しかも、微妙に引きつっている。
そう。この笑顔は、あたしを怒る直前の顔だ。
「あっ、あたし、宿題が山のように出ていたんだったー」