―Destiny―


「じゃ、決まり。行こう」


「えっ、今からっ!?」



前にもこんなことあったな。

お父さんたちに会うって言って。

言ったそばからすぐに行動に移して。

あたしは、そんな奏汰の行動力が羨ましいよ。



店の路地裏に止められた奏汰の車に乗り込み、あたしの家へと向かう。


家に着くまでのあいだ、奏汰は他愛もない笑い話を繰り返したけれど。

あたしには、それが自分の気持ちを落ち着かせようとしているんだって、すぐに分かった。



奏汰が吸うタバコの量が、いつもより多かったから。


吸っては消して、消しては吸い……。

揺らぎ続けるタバコの煙を追い出すために、窓を半分まで開ける。


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