―Destiny―
逃げるようにして踵を返すと、あたしより数十センチ背の高いお母さんが、
「ちょい待ち!」
言って、あたしの制服の後ろ襟をぐいとつかむ。
「さっき、槙村先生から電話があったのよ」
「!!!!!!」
槙村先生……、お母さんにとうとう電話しちゃったんだ。
もうすぐ投下されるお母さんの雷に覚悟して、あたしはごくりと喉をならしながら振り返った。
「今日の昼休み、学食で食べるからお弁当はいらないって言ってたわよね?」
「……う、うん」
「学校を抜け出して、近所のラーメン屋に行ったとか?」