―Destiny―


槙村先生の校内放送が、靴箱に向かうあたしを止めた。



「なに、柚……。あんた、何かやらかしたの?」



ずっと大人しくしていたのに。

久しぶりの呼び出しに、真菜は眉をひそめ、あたしをじっと見た。



「何もしてないよ」



言いながら、あたしには呼び出しの理由が少しだけ分かったような気がした。


もしかしたら、あたしと奏汰のことなんじゃないかって。

だって、それぐらいしか思い当たることがなかったから……。



「ごめん、ちょっと行って来る」


「あとでメールちょうだいよ?」



潔く生徒指導室に向かうあたしを、真菜は不安な顔で見送った。


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