―Destiny―


生徒指導室に入ると、数人の先生が机に向かって仕事をしていた。



「村岡。呼び出して悪かったな」



一番奥にある槙村先生の机。

そこに座って何やら書き物をしていた先生は、あたしが来ると席を立ち、指導室内にある別室に連れて行った。



「……先生、なんですか?」



いつものように先生は熱いコーヒーを差し出すと、イスには座らずそのまま窓辺の方へと歩いていく。

先生はあたしの問いかけには答えず、窓の外に広がる雪景色を突っ立ったまま、じっと眺めていた。



「もしかして、あたしと奏汰のこと?」



そう訊くと、先生はようやくあたしの方を見て、口を開いた。


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