―Destiny―
「……お母さんが……」
「おまえまで、昔と同じことを繰り返してどうするんだよ」
「………」
先生の悲しげな瞳が、あたしの胸をズキンと突き刺す。
先生はそう言ったあと立ち上がり、部屋の隅に置かれたキャビネットへと向かった。
そして、【生徒名簿】と書かれた一冊のファイルを取り出すと、そのままどこかに電話をかけ始めた。
「……村岡さんのお宅でしょうか。私、柚さんの学校の生徒指導を担当しております槙村です」
「……先生?」
どうして家に電話するの?
お母さんと何を話す気なの?
先生はあたしの方なんか見向きもせずに、【生徒名簿】のファイルを意味もなくパラパラとめくりながら、電話の向こうのお母さんと話している。
「えぇ、実はですね。柚さんを含めた数名の生徒が、いつも私の仕事を手伝ってくれていまして……」