―Destiny―


毎晩のようにメールをしているけれど。

声のない会話は苦しくなるぐらいに寂しくて。


せめて声だけでも聞きたい、と、番号を押すけれど。

その指は発信ボタンを押さずに終わってしまう。



あたしの隣に座る奏汰は、無言で携帯を取り出し、指で何か操作し始めた。


会いたくて。

声を聞きたくて。

いろんなことを話したいのに。



奏汰は、あたしとは違うのかな。

あたしの顔を見ることもなく、無言で携帯なんかいじってるし。

こんな状況だからこそ、会えた時ぐらい、たくさん奏汰を話をしたいのに……。



あまりにもかけ離れている奏汰の態度に、泣きそうになってしまう。


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