―Destiny―
だけど、奏汰を好きだっていう気持ちは自然に込み上げてくる。
奏汰を好きな気持ちは、あたしの中では当たり前のように育っていて。
それは止まることを知らず、深くて大きなものになっていくんだ。
返信、しなきゃ。
頭ではそう思っているのに、メールを打つ指が動かない。
奏汰は顔色ひとつ変えずに、携帯の画面をいまだ眺めている。
前の席では大将と先生が、沈んだ空気を壊すかのように明るい話題を繰り広げいてる。
あたしは……。
「……っ……」
メールを返すことも。
返信できない代わりに、座席の上にだらりと置かれた奏汰の左手を握りしめることも。
なにもできなくて。
ただ泣きそうになるのを、堪えることしかできなかったんだ。