―Destiny―


今は違う店になってしまった、かつてのコンビニ。

永輝さんの従弟であり、いちばん近くにいた大将。

今このなかで、過去の傷がいちばん深いのは、きっと大将なんだろう。



「じゃあ、つぎ行こうか」



言って、大将はゆっくりと駐車場から車を出した。


あたしも奏汰も無言のまま、窓から見える景色をぼんやりと眺める。

会話もなかったし、さっきのメールに対してあたしは返事さえもできなかった。



そして何よりも。

大将と先生がこれからしようとしていることは、きっと、柚羽ちゃんと永輝さんに関係する場所を廻ることであって。


それにあたしたちを立ち会わせるのに、いったい何の意味があるのか。

あたしには理解できなかったんだ。



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