―Destiny―


あたしの隣に座っていた奏汰が、静かな口調で大将に問う。

大将は無言で頷いたあと、車のドアを開け、外に出た。

先生もそれを追うかのように外に出て、あたしと奏汰も、流れに身を任せるようにして車から出る。



「今の柚ちゃんと奏汰は、あの頃の柚羽さんと永輝くんと同じだな」



車から降りてきたあたしたちを見て、大将は苦笑しながら言った。



「自分たちの気持ちに正直になるんだ」



そうは言うけれど、お母さんがあの状態じゃ……。

どんなに努力しても、限界ってものがあるんだ。


< 256 / 328 >

この作品をシェア

pagetop