―Destiny―
柚羽ちゃんに会ったことのある先生と、永輝さんのそばにいた大将は悲しそうな瞳をしている。
先生も大将も、柚羽ちゃんたちがいちばん辛かった時のことを目の当たりにしているんだ。
「――奏汰」
大将はジーンズのポケットを探りながら、なにかを取り出し、奏汰に手渡した。
奏汰は手のひらを見た瞬間、ひどく驚いた顔をする。
「……なに?」
横から奏汰の手の中を覗き込むと、そこにあったのは、以前、奏汰の家で見たふたつの指輪だった。
「柚羽さんと永輝くんの指輪だよ。優美ちゃんから預かってきた」
「……なんで、俺たちに?」