―Destiny―
【YUWA 1005】と刻まれた、永輝さんが嵌めるはずだった大きなサイズの指輪。
もうひとつの、柚羽ちゃんの指に納まるはずだった指輪は奏汰が持っている。
『ねぇ、普通は逆じゃない?』
指輪をひとつずつ持っていようと提案した奏汰は、なんの迷いもなく、柚羽ちゃんの指輪を手に取った。
女性物の指輪なら、普通はあたしが持つべき。
不思議そうに訊くあたしに、奏汰は笑顔で言ったんだ。
『何もかもがうまくいったら、指輪を交換しよう』
単純な考えしかなかったあたしは、奏汰の言葉に感動してしまって泣きそうになった。
もしもこの先くじけそうになってしまったら。
この指輪がきっと、あたしたちの支えになってくれる。