―Destiny―


「――柚。先生、お帰りになるそうよ」


「あっ、うん。じゃああたし、車のところまで送るよ」



一緒に見送ると言うお母さんを、先生は丁重に断り、あたしだけが見送りに外へと出る。



「――先生。今日はありがとうね」



改まってお礼を言うあたしを見て、先生は笑う。



「礼なんて。……あ、そうだ、村岡」


「なに?」


「おまえに頼みがあるんだけど……」


< 269 / 328 >

この作品をシェア

pagetop