―Destiny―


「諒子。入院に必要なものを取りに、とりあえず家に帰ろう」


「……ここにいさせて……」



力なく言う私に、慎ちゃんは「すぐに戻るから」と言って、一度家に帰った。


薄暗い、人気のない廊下。

壁側に設置されたベンチに、崩れるようにして座り込む。


大切な親友の柚羽を失って。

そして今度は、最愛の娘まで、私は失うの?


全部、かんなさんが絡んでいる。

もしも柚が死んでしまったら、私は間違いなく彼女を殺めてしまうだろう。


どうして、私たちの前に現れたの?

……どうして、柚と奏汰くんは出会ったしまったの?


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