―Destiny―


でも、いま私の目の前にいる結崎さんは違う。

厳しい口調で、私を叱っているかのようにも受け取れた。



『柳さん。君も母親になったんだ。あの頃とは違う。娘の幸せを願うべきだよ』



まるで……。

しっかりしろよ、と、言われているみたいだ。


思えば、私は自分のことしか考えていなかった。

かんなさんを許せないあまり、彼女に関わるものすべてを排除してしまいたいと強く思っていた。


結崎さんにそっくりな奏汰くんを見れば、彼を思い出す。

それは自然な流れで、昔の記憶を蘇らせる。


そして、奏汰くんの身内になったかんなさんへと繋がっていく……。


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