―Destiny―
■ 手紙
【来来軒】の階段から落ちて、生死の淵をさまよっていたあたし。
奇跡的に意識を取り戻したのは、一週間後のことだった。
連絡を受けた真菜は泣きじゃくりながら、やって来て。
「なにやってんのよ、あんたは!」
なんて、涙をボロボロ流しながら怒っていた。
お母さんはそんな光景を、微笑みながら見ていた。
そして――
「柚、奏汰くんよ」
「……えっ……?」
病室にやって来た奏汰。
あたしは、奏汰が来たことよりも、お母さんが快く迎え入れたことに驚いてしまった。